金曜日、てんかん発作後の初診のため通院しているK病院に行った。大きな病院、予約は9時半。
その前に。主婦の朝は超〜忙しい。5時起きで、掃除洗濯、犬の散歩、食事を作る。掃除機のあとは、拭き掃除しながら洗濯物を干す。身支度もしないといけない。毎日。日曜日も、繰り返す。
家内は午前中、休みをとった。二人でK病院へ行った。9時過ぎに到着し、右足を少し引きずる私をしり目に家内は救急のS病院でもらったパソコンファイルを持って一階フロアに行った。私はゆっくり2階に行って診察待ち。家内は、ファイルの取り込みにえらく時間が、かかっているみたいだった。おそらく、見えない刀を抜いて、殺気を放っていたんじゃないかと思う。そうこうしているうちに私の順番が来てしまった。家内と二人で来たんだけど一人で診察室に向かった。変な胸騒ぎを感じた。
ま、診察は全く問題なくスムーズに終わった。家内の方はファイルの取り込みに時間がかかっていたので一人で診察をすました。やはり、なんとなく引っかかるものを感じながら、新しい薬の処方箋を持って1階に降りて合流した。
私を見た途端、家内が「何してるん?!」と、殺気を残したまま言った。事情を説明 た。家内「いやいや、聞いてないけど?!」「わし、聞いてへんがな?」と言っいたような気もする。言い捨てて、2階の受付に上がっていった。私も右足を引きずって2階に上がった。
脳神経科の受付には4〜50代くらいのメガネをかけた、ぱっとしないおばちゃんがいた。それに向かって家内が言った。「ファイルの読み込みに時間がかかって、診察の内容聞いてないねんけど、どうしてくれるん!?」みたいな。さらに受付のおばちゃんにたたみかける。「付き添いで来たんやけど、どうなってるん!本人にゆってもわからんやん?!」問い詰めていた。順番待ちの周りの人達もこっちを見ている。ちょっと恥ずかしい。おばちゃんは朝なのに、くたびれて疲れているように見えた。
おばちゃんは謝った。「申し訳ありません・・」
おばちゃんは私と家内を交互に見ながら、さらに謝った。「つきそいの娘さんですか。申し訳ございません・・・」
2人して色んな意味で硬直して、心の中でリフレインした。「娘さんですか?娘さんですか?娘さんですか?・・・」
2人それぞれの思いを込めておばちゃんをもう一度、見つめた。私は、受付カウンターに身を乗り出していたかもしれない。家内は私が余計な事を言わないようにシャツの袖を優しく引っ張って、椅子に座らせた。
そして家内が応えた。
「い、いや。娘じゃないんですけど・・・」
「娘じゃなくて、妻です。」
おばちゃん「あ、すみません…」
家内が優しく事情を説明した。ちょっと笑ってた。少しひきつりながら、笑みがこぼれて、落ちない様に両手で拾っていた。
その後、先生じゃなく、別の若い看護師さんが来た。私たちが座っている隣で、片膝ついて話を聞いて、謝っていた。若い、感じの良い子だった。私は申し訳なかった。心の中で、娘。って言えと願った。そうすればまた、風向きが、変わるかも知らんと。
まぁ、やはり、言うわけがなかった。
おばちゃんは家内を心底、娘だと思ったに違いない。おばちゃんには申し訳ないけど、仕事が出来る、キレキレな感じではなかった。あとの子の方が営業が出来るタイプ。片膝ついて私と,家内を,交互に見て頷きながら対応していた。家内には、勘違いをしているおばちゃんの方が響いた。家内を、娘だと本気で間違っているおばちゃんを。
良い勉強になった。心底思うことが、伝わるし、人を動かす。間違える事、全てが、悪では無いと。当たり前のことなんだけど、目の前で繰り広げられると、説得力がある。
帰りの車で、ボーっとしてたら娘に間違われた話に戻った。家に帰って、直ぐに会社に出かけた。その話をしながら。
5時半に帰ってきた。もう一度、娘に間違われた話をしていた。
肩の力を抜いて、心をえぐるような一言を突き刺すおばちゃんを見習いたい。