koji3776のブログ

2022年入院 50代 高次脳機能障害 1年8ヶ月ぶりに会社復帰

真っ直ぐ歩けない。面白い。

 もうすぐ救急車で運ばれて2年になる。目が覚めて、すぐにリハビリが始まった。リハビリは早く始めるほど良いらしい。それまでは多分、ベッドの上でモウロウとしていた。六階かどうかわからない四人部屋で自分の移動していい範囲は狭い。同じ部屋にどんな人がいるのかは、わからない。多分おじいちゃんだとはわかる。

 荷物や小物には手が届く。色んなものが大阪から送られていた。そして狭い空間の中で入院している。目が覚めて間もなく理学療法士のN先生が部屋に来た。さぁ歩いてみましょう。と。先生と一緒に病室を出る。まだ、目がボヤボヤしていた。でも、久しぶりの病室の外。世界がワンフロアに大きく広がる。先生が自分を囲うように、腕で輪っかを作って守るように一緒に移動する。この人は何してんだろう?と思った。すぐにわかった。真っ直ぐ歩けていない。「ゆっくり、ゆっくりですよ」なぜか、身体が右に右に寄っていく。自分では真っ直ぐ歩いてるつもりだけど、気がつくと、右の壁が勝手に近づいてくる。右手の甲が廊下の壁に当たった。真っ直ぐ歩いてるのに、右手が壁に触れる。それが、面白かった。この時、笑っていた。面白くて、こっそり笑っていた。N先生が、まあ真面目な顔で「大げさにこっち(左に手まねき)に寄るように意識して歩いてください。」「気をつけて!」とか何とか言っている。私としては直進できないことが面白くて笑いが込み上げてくる。こんなことは滅多にない。目が覚めて歩くと真っ直ぐ歩けない。それが面白かった。ふざけて、手を痛めたりすると、また閉じ込められると思ってなんとか、真っ直ぐ、普通に歩くようにした。普通ってなんだろう。